それは、はじめから「仮初(かりそめ)」の場所だった。親しい友人からの依頼で作った、あの仕事場。集合住宅の一室を、彼女の城に。「次はもっと広いところへ行くから」そう笑って話していた彼女の言葉は、単なる願望ではなく、確かな未来への約束だったのだと思う。今、彼女は新しいオフィスにいる。描いた夢の地図を、彼女は迷わずに歩んでいる。ふと、あの部屋を思い返す。限られた時間、限られた空間だからこそ、思い切って彼女の「今」を咲かせようと思った。壁一面に敷き詰めたボタニカルな花々は、彼女の周りでこれから起こる繁栄の予感。そして、空間のへそ(中心)に据えた鮮烈な「マゼンタ(Magenta)」。ロールスクリーン越しのあの光は、彼女の芯にある情熱そのものだった。一方で、天井には冷静さを。あえて方向性のある木目のクロスを選び、視線を導く。花の甘さを、天井の直線の流れがぐっと引き締め、空間に心地よい規律を与える。椅子も、ペンダントライトも、手元の文具ひとつに至るまで。ばらばらの点ではなく、一本の線でつながる物語のように。人と空間が溶け合い、ひとつの季節を駆け抜けた。あの部屋は、彼女にとっての美しい「助走」の場所。役目を終えた空間に、心からの感謝を。そして、次の世界へと羽ばたく背中に、静かなエールを。花は散ったのではなく、種を運び、別の場所でまた大きく咲き誇る。物語は、まだ続いている。大分市でオーダーカーテンとインテリアコーディネートをご提案しているアルティマ工房です。暮らしを整える住環境づくりを通して、心地よい住まいづくりをお手伝いしています。別府市など近隣エリアにも対応しています。