写真を整理していたら、以前撮った花火の写真が出てきた。夜空というパレットに光が彩られる。その瞬間は明るく鮮やかなのに、不思議と心に残るのは、花火が消えたあとの静けさ。音が遠のいていく時間。見上げていた人たちが、ゆっくりと帰り始める空気。そんな余韻の方を思い出す。花火は一瞬で消えてしまう。けれど、だからこそ人は足を止め、空を見上げるのかもしれない。ずっと続くものよりも、限りがあるものに心を動かされることがある。夏の夕暮れ。旅先の景色。子どもとの時間。季節の花。どれも、同じ場所に留まってはくれない。だからこそ愛おしい。写真の中の花火を眺めながら、残るものについて考えていた。形として残るものより、そのとき感じた空気や、誰かと一緒に見上げた時間の方が、案外長く心に残るのかもしれない。花火は消えた。けれど、その余韻は今もどこかに残っている。そんなことを思う夏の夜だった。