一月七日。今朝、七草粥をいただきながら、ふと、もうひとつの「七」に、思いを馳せていた。大分県の国東地方だけで生産されている、「七島藺(しちとうい)」のこと。そういえば、この畳と出会ったのも、今から五年前。押し迫った、十二月のことだった。そもそも、私が七島藺に出会ったのは、ある長年のお客様が趣味で習っていた七島藺の草履を一足、プレゼントしてくださったことがきっかけだった。履いた瞬間、驚いた。足裏を刺激する、なんとも言えない心地よさと、大地の力強さ。大分で生まれ育ちながら、地元の誇るべきこの素材を、私はそれまで、知らずにいた。「この畳を敷きたい」その想いを口にしたとき、さらにご縁がつながった。草履を教えていらした先生が、腕利きで知られる、ベテランの生産者さんご夫妻を紹介してくださったのだ。お客様、先生、そして私。みんなで連れ立って、国東にある工房を訪ねた。「い草」と似ているけれど、断面が丸いい草に対して、七島藺は、鋭い三角形をしている。三百五十年の歴史を持ち、本来の琉球畳は、この七島藺で織られたものを指すという。驚くのは、その丈夫さだけではない。かつては、柔道の畳としても重宝されてきたほど、強く、しなやか。けれど、その製作には、気が遠くなるような手間がかかる。一本ずつ、手作業で裂き、選別し、織り上げる。どんなに熟練した農家さんでも、一日に織れるのは、わずか二畳ほど。その事実を知るほどに、足元に広がるこの畳が、どれほど尊いものか、自然と背筋が伸びる思いがする。寒空の下、工房で迎えてくださった奥様は、私と同じ、「恵美(えみ)」というお名前だった。その偶然に、勝手ながら深い縁を感じたことを、今でも鮮明に覚えている。そして、さきほどポストに届いた、今年の年賀状。そこには、あのご夫婦からの温かな近況とともに、「またお逢いしましょう」という一言が添えられていた。五年前の冬の匂い。工房に響いていた、織り機の音。そして、恵美さんの笑顔。ふと、あの日の空気まで、戻ってきた気がした。良いご縁が、必然のように揃って、はじめて家の「素材」は、出来上がっていく。単なる物の売り買いではなく、素材と、人の想いが重なり、響き合う。そうして、家づくりという物語は、どこまでも続いていく。私は、この畳のある空間を誇らしく思っている。朝一番の出入りには、深くお辞儀をするのが私の日課。この清々しい空間に関わってくださった方々への敬意と、今日という一日への感謝を込めて。七島藺の香りに包まれながら、ふと思う。私はこの畳に触れるたび、あの国東の工房を訪れているのだと。使い込むほどに、飴色へと深まっていくこの畳。これからも、日々をともに重ねていく存在として、大切に育てていきたい。作り手の魂が宿るものと暮らすこと。その豊かさを、足裏で感じながら、今日も一日が始まる。大分市でオーダーカーテンとインテリアコーディネートをご提案しているアルティマ工房です。暮らしを整える住環境づくりを通して、心地よい住まいづくりをお手伝いしています。別府市など近隣エリアにも対応しています。