階段を上がると、真っ白な壁の先に青空が見える。今日から、新築 T 邸のオーダーキッチン設置がスタート。静かな期待とともに、現場へ足を踏み入れた。デザイン計画が動き出したのは、ちょうど2年前の今頃。親御さん宅の新築インテリアをご依頼いただいたご縁から、「息子夫婦の新居計画も相談したい」と声をかけていただき、この家づくりがゆっくりと始まった。息子さんご夫婦には2人の愛らしいお子さまが誕生し、家族の物語が増えていくのと同じ速度で、図面も育っていった。屋上から、別府湾と高崎山。息をのむ景色がどこまでも広がっている。この眺望が“日常”になるなんて──暮らしそのものが、見えない力で調っていくように感じる。外観も内観も、どこを切り取っても美しい。建築士さんが描く設計図は、光の入り方や視線の抜けに至るまで見事に計算されつくしている。建物そのものが、愛とロマンの結晶のように思えた。内部では、大工さんや技術職人さんが、その精密な図面を一つひとつ確かな形に変えていく。現場の空気は、いつも真剣で、どこかやさしい。その中心には、“見えないところこそ美しく仕上げる”という哲学があり、工具の整頓や資材の扱い、隠れてしまう配線に至るまで、とても芸術的。そして、その空気全体を支えているのが、誠実であたたかい工務店さんの存在。設計と施工、それぞれの美学が響き合うことで、この空間が着実に、力強く形づくられているのだと思う。素材選びに頭を寄せ合った時間も思い出した。タイル一枚、色味ひとつを決めるその積み重ねが、今日の“空間の骨格”につながっている。そして最後に見た、解体前の元の家。長い時間を見守ってきた家屋に感謝を捧げたのち、若い世代が家族の土地を、再び息づかせようとしている。ご先祖の皆々さまの喜びもまた、末長いこれからを強く支えてくれると想像する。あらためて思う。家づくりは、「人と人のつながり」と「永き時間の積み重ね」でできている。明日もキッチン施工の続き。また一歩、暮らしの未来へ。