自然の清らかな水に触れたときの、言葉にできない心地よさ。そして、部屋の掃除や散歩などでからだを動かしたあとに感じる、スッキリとした軽やかさ。私たちが日常で感じるこうした感覚には、実は「目に見えない確かな理由」があるようです。米国で自然療法などを実践されている医師、ジェリー・テナント博士の理論です。博士の考えによると、私たちの健康や治癒の鍵を握っているのは、「電気(電圧)」とされています。テナント博士は、私たちのからだをポータブルな電子機器のようなものだと捉えています。どんなに素晴らしい機能を持った車でも、バッテリーがなければどこへも走っていけないように、私たちのからだも「電気(電子)」が不足すると、本来の機能を果たせなくなってしまうのです。では、その大切な電気はどこからやってくるのでしょうか。ひとつは、私たち自身の「筋肉」です。筋肉はからだの電圧発生装置であり、充電池(バッテリー)。しかしこのシステムは、私たちが「動いているとき」にしか機能しません。じっと動かないままでいるとバッテリーは減っていき、リンパの流れも滞って、本来なら外へ流されるはずの古い細胞が、からだの内に「淀んだ水」のように溜まってしまうのだそうです。そしてもうひとつ、からだに電気(電子)を供給してくれる大切な存在が「水」です。私たちが自然の海や清流に入ったときにリフレッシュするのは、水を通して地球から豊かな「電子」を受け取っているからなのだとか。逆に、塩素やフッ素が含まれた水道水や、淀んだ水に長く触れていると、今度は水の方が私たちのからだから「電子を奪う(酸化させる)」存在になってしまいます。プールのあとにどっと重たい疲れを感じることがあるのは、この見えない電子のやり取り(電子を盗まれてバッテリーが減ってしまうこと)が関係しているのかもしれません。テナント博士のこの視点を知ったとき、私が住まいのサポートで大切にしている「環境療法デザイン」の意味が、より深く、腑に落ちました。塩素などを取り除いた健やかで自然に近い「水環境」を住まいに整えることは、毎日の手洗いや入浴の時間を、からだに電子を与え、本来の心地よさへと還元してくれるやさしいセルフケアの時間へと変えてくれます。そして、自然と動きたくなるような「無理のない動線」や、光や風を感じて歩きたくなる空間を設計することは、そこに住む人のからだのバッテリーが、日々の暮らしの中でごく自然に充電され、内側の淀みを綺麗に洗い流していくための仕掛けなのです。目には見えないけれど、絶え間なく行われている「電子」のやり取り。まずは、今日飲む一杯のきれいなお水を、からだを潤すようにていねいに味わってみる。お気に入りの音楽にのせて、家事の合間に少しだけ手足を大きく動かしてみる。「動くこと」と「良い水を取り入れること」。そんなささやかな日常の営みから、からだのバッテリーは満たされ、暮らしの調和は静かにはじまっていくのだと思います。