椿は、気づくと咲いている。庭の時間が、いつの間にか少しだけ先へ進んでいた。昨日まで固く結んでいた蕾が、朝の光の中で、そっとほどけている。その変化はあまりに静かで、毎日庭に出ているはずの私でさえ、ふとした瞬間にはじめて気づく。椿の花は、声高に春を告げたりはしない。ただ、庭の奥で一輪、また一輪とひらく。その姿を見ていると、季節とは、何かが始まる合図というより、ゆっくりと満ちてくるものなのだと思う。淡いピンクの花。艶やかな深紅。雪のように澄んだ白。同じ椿でも、それぞれが違う気配をまといながら、庭のあちこちで静かにひらいている。椿は急がない。昨日の続きを、今日もただ静かに重ねていく。だからだろうか。庭に立っていると、こちらの呼吸までゆっくり整っていく気がする。花を眺めるというより、庭の時間に、そっと身を置くような感覚。そうしているうちに、また一輪、椿がひらく。春はいつも、こんなふうに、静かに始まっている。新しい季節の気配とともに、空間も少し動き出す頃。大分市でオーダーカーテンとインテリアコーディネートをご提案しているアルティマ工房です。住環境を整える視点から、光や動線を大切にした住まいづくりをお手伝いしています。別府市など近隣エリアにも対応しています。