日本の美意識をコンセプトに独自のスタイルを発信する「matofu」。縁あって、服飾デザイナーの堀畑さん・関口さんによる創作の記録映画と、その後のアフタートークを聞きに出かけました。何より楽しみにしていたのは、風景司・団塚栄喜さんとの三人によるお話。感性が交わる極上の時間になると確信していました。映画の中では、「まとふ」「かざり」「うつろひ」「おぼろ」といった日本語ならではの柔らかな響きが散りばめられ、布づくりの工程や“美調整”の手つきがありのままに映し出されていました。ハギレが新たなデザインとして再生され、さらに美しい長着へと生まれ変わっていく姿からは、扱うものへの深い敬意が感じられました。団塚さんはmatofuの長着を仕事場の目につくところに掛けているそうで、その日もとても素敵に着こなしていました。「別府の湯煙を見ていたら、湯煙ではなく“風”を見ていたと気づいた」という言葉が強く印象に残りました。視点が変わることで、見慣れた景色が別の表情を見せる。“心眼を開く”とは、こういうことなのかもしれません。会場には東京からピアニストの高橋望さんも来られていて、少しだけ言葉を交わせたのも嬉しいひとときでした。この会につないでくださった和田おかみにも感謝です。映画会の記念に、そして暮らしへの小さな褒美として、matofuさんのセーターをひとつ選びました。筒状に編まれたウールは縫い目がなく、チクチクしない。洗っても縮みにくく、毛玉にもなりにくいそうで、着心地も驚くほど快適です。見慣れた世界が変わっていく。それは、ものの“つくられ方”や“扱われ方”を知ることで静かに起こる変化でもある。買ってよかった、と心から思えた一日でした。