朝から雨。台風を運んでいるわりには、どこかやさしい降り方だ。室内は涼しく、仕事もよく捗る。昨日のうちに、暴風対策をしておいてよかった。古民家の木の雨戸を閉める。これがなかなかの重労働だ。わずかな建物のゆがみもあるだろうし、木の雨戸も年月とともに少しずつ表情を変えている。最後の一枚がなかなか手強い。押して、引いて、左右入れ替えて、角度を変えてみる。溝にどうしてもはまらない。支える腕はピクピク。額にはじわりと汗がにじんでいた。ひとり作業にギブアップし、息子に手伝いを頼んだ。左右でかかえる手があることでようやく溝に入った。おかげで準備万端。そのあと、隣のお宅に声をかけ、どうにも動かない木の雨戸を息子が閉める。九十二歳のおひとり暮らし。雨戸を閉めるくらいのことでも、ひとりでは諦める。昔は当たり前だったのかもしれない。困った時は声を掛け合い、できる人が少し手を貸す。そんなご近所付き合い。今では、少し貴重なものになった気もする。雨はまだ静かに降っている。何事もなく通り過ぎてくれたらと思う。けれど、備えることもまた、暮らしの一部。今日は雨戸の向こうで、そんなことを考えている。