家づくりのゼロ提案。今日、その資料をつくりながら、改めて感じたことがある。それは、ゼロの段階には、まだ形になっていない可能性がたくさん存在しているということ。一般的な家づくりでは、まず住宅会社を探し、モデルルームを見たり、建物見学会へ足を運ぶ。そこから、間取りや予算の目安をつくり、理想と現実を調整しながら、少しずつ形になっていく。もちろん、それも大切な家づくりのひとつ。けれど、私はもうひとつの始まり方があると思っている。建物からではなく、その人の内側から始める家づくり。どんな暮らしをしたいのか。なぜ、そうしたいと思うのか。何を大切にして、これまで暮らしてきたのか。どんな環境にいると、心や身体が自然に調うのか。まだ言葉になっていない想いを見つけ、そこから住まいを考えていく。ゼロとは、何もない場所ではない。見えないけれど、すでにすべてがそろっている場所。その可能性への扉をひらき、本来ある答えを、見つけること。それが、私にとっての「ゼロの創造」。これまで38年、住環境に関わる中で、大切にしてきたことがある。インテリアコーディネートとは、色や素材、家具を選ぶことだけではない。住む人が大切にしていること。家族それぞれの価値観。時には正反対になる希望。その違いを理解し、施主さん、設計士さん、施工会社さん、それぞれの想いをつなぎながら、調和できる最善の場所を探していく。誰かの正解を押しつけるのではなく、まだ見えていない答えを共につくる。それが、私にとってのデザインだった。そして年月を重ねる中で、さらに感じるようになった。人を支える環境には、目に見えるものだけではなく、光、水、空気、素材、そして言葉にならない環境の質も大きく関わっているということ。効率やコストだけでは測れない、身体が感じる心地よさ。深く呼吸できる場所。自然に力が抜ける場所。本来の自分に戻れる場所。環境を整えることで、人が持っている力が自然に開いていく。これから私が深めていきたいのは、そんな環境づくり。ゼロから始まり、調和する環境を創造していく。家づくりの、はじまりを変えること。それは、暮らしの可能性をひらくこと。