佐賀・古湯温泉へ。満開の桜が、「止まって」と語りかけてくるような路地。私たちは日頃、効率やスピードの中に身を置いていますが、時に、こうして少し強引な「停止ボタン」を用意してくれる。足を止めて、この桃色の周波数に触れるところから、今回の旅は静かに始まった。「ONCRI」の温泉。親しんだ、八角形の陶器風呂。ホーホケキョ、と鶯がさえずる、山の懐。形や、自然のものには、エネルギーを安定させる力がある。それは、道中で出会った乙女椿の、完璧な幾何学模様とも、どこか静かに共鳴していた。この花びらが描く、「生命の花(フラワーオブライフ)」。その静かな美しさに触れるたび、内側の滞りは、自然にほどけていく。岩肌をやわらかく洗う、春のせせらぎ。苔の深い緑と、小さな白い花の、かすかな呼吸。山あいに差し込む、光の梯子。古湯のやわらかな湯と、自然が描く完璧な「形」に触れたこの小さな旅は、静かに、そして清らかに私を調律してくれた。目に見える「かたち」目に見えない「響き」そのあいだに、ただ在る。