七月のはじまり。暦は、青空に湧きあがる入道雲。季節が、ひとつ進んだ。奈良の吉野から、三キロの梅が届く。ちょうど在宅していたので、受け取ったあと、すぐに箱を開ける。桃のような甘さと、爽やかな香りが、部屋いっぱいに広がる。ひと息味わってから、五十度の湯につける。ヘタを取って、乾かす。琺瑯の容器に、天日塩と交互に梅を重ねる。重さの18%ほどの塩加減。最後に、重し代わりの水袋を置いて、蓋を閉じた。手順は簡単。ここから待つ時間。やがて梅酢があがり、梅雨が明けたら、今度は天日干し。三粒だけ、傷や柔らかすぎる梅があった。それは小鍋で煮て、ジャムにした。自然から届いたものを、できるだけ余さず、形を変えていただく。それも、暮らしの小さなマイルール。手をかけたあとは、季節に預ける。待つだけで、味が調和していく。そんなことを、毎年教えてもらっている気がする。