建築の仕事をしていると、時として「家」という器を超えた、より深い命の根源に触れるご縁をいただくことがある。今回の別府T邸プロジェクトにおいて、それは「お墓」の建立であった。お施主様のご両親から墓石についてのご相談をいただいた際、私がまず考えたのは、T家の皆様の優しさと、ご先祖様への深い愛を、そのまま受け止めてご要望にしっかりと応えてくれる石材店さんはどこか、ということであった。石材店選びというより人選び。価格や石の種類だけで決めるのとも違う。その家の歩みや、これからの繁栄、さらに言えば「亡き人とどう向き合いたいか」という目に見えない想いを、どれだけ丁寧に汲み取ってより良い提案をしてくれるか。それがすべてだと思っている。私は、その人柄と細やかな対応力において事前の調査を入念に行い、T様のご要望がぴったり叶うと確信できた方をご紹介した。その後は、お施主様と石材店さんの間で直接、一歩ずつ丁寧な対話が重ねられていった。先日、完成したお墓の写真を拝見した。そこに刻まれていたのは、お墓という場所を「悲しみの地」から「温かな再会の場」へと一瞬で変えてしまうような、深い慈愛に満ちた感謝の言葉であった。それはまるで、目には見えないところにいる大切な方々が、訪ねてきた私たちに微笑みながら抱きしめてくれるような、そんな優しい響き。その一筆を見た瞬間、時が止まった。息を呑み、ただその慈愛の響きに包まれていた。お墓は、訪れる人を光で迎え、愛を交換する場所なのだ。その字体、バランス、そして漂う慈しみ。T家の皆様の想いを見事に汲み取って形にしてくださった石材店さんをご紹介できたことを、私自身も最高の誉れに感じている。ここで、ふと思い出すことがある。仕事において、ご家族の写真をいくつか選んでもらって、似合う雰囲気で額装し、壁面に演出させてもらうことがあるのだが、不思議なことに、そうした「家族の歩み」を住まいの中に丁寧に迎え入れたご一家は、決まって幸運に恵まれ、繁栄していく。それは偶然というよりも、ご自身やご家族、ご先祖を大事に思う気持ちを、暮らしの中で“形”にしているからなのだと思う。今回のお墓づくりも、それにとても近い。亡き人を想い、これまでの命の連なりに手を合わせること。そしてその想いを、石という永い時間を生きる素材に託し、未来へ手渡していくこと。良い家を建てること。そして、良いお墓を整えること。どちらも「今ある幸せ」をより深く実感し、見えない何かに多々守られていることを確信する、大切な儀式のようなものだ。このお墓の前を通る人は、きっとその光に意識を向け、清々しい気持ちになるに違いない。愛に溢れた言霊が、その場所だけでなく、地域まで満たしていく。そんな素晴らしい命のバトンに立ち会えたことに、深い感謝を捧げたい。大分市でオーダーカーテンとインテリアコーディネートをご提案しているアルティマ工房です。暮らしを整える住環境づくりを通して、心地よい住まいづくりをお手伝いしています。別府市など近隣エリアにも対応しています。