庭に出て、土を掘る。食べる分だけ、必要な分だけ。冬の間の楽しみ、菊芋(キクイモ)の収穫です。土の中は掘り上げるその瞬間まで、長い期間、新鮮さを保てる保管庫。野菜室がいらないのも助かります。このごろの昼食は、掘りたてをザクっと切って、天然塩と一緒に炊くだけの「菊芋ごはん」が楽で美味しい。蓋を開けると、ふわりと湯気が立ち上り、口に運べば、ホクホクと、大地のやさしい甘みが広がります。シンプルで贅沢なお昼ご飯だなとしみじみ味わう。午後は、お客様のもとへ打ち合わせに。メインのお話も無事終わり、そろそろ失礼しようと立ち上がったとき、ふと思い出したように、奥様がおっしゃいました。「そういえば、キッチンの引き出しが……」案内していただくと、ご家族が炊飯器を使った際、うっかり蒸気が当たった部分の面材が、めくれてしまった跡があります。施工から約十年。ご自分でボンドで貼ってみたものの、わずかに表面が波打つ接着跡がある。「家族しか見ない場所だし、自分しかわからないから、このままでいいかなと思って」そう笑う奥様ですが、毎日立つキッチン。小さな「気に掛かり」は、ふとした瞬間に、心のノイズになるものです。「直るかどうかはわからないですが今後の参考にもなるのでメーカーに聞くだけ聞いてみますよ」現状の写真を撮らせていただき、戻って確認作業へ。十年前の施工データ。当時の商品詳細の控えも、残していました。おかげでメーカーへの確認もスムーズに進み、「修理可能」との回答が。明日には、見積もりが出る予定です。「このままでいいか」と諦めていたものが、「直せる」とわかったときの安堵感。それはきっと、心の波打ちも、すっと平らにしてくれます。身体を整える、自然の恵み。住まいを整える、記録と手当て。どちらも、健やかな毎日には欠かせない、小さなメンテナンスです。