現地へは朝十時前に到着した。空は曇り。午後から雨かもしれないので、まずはラグを室内へ運び込む。こういう日は、天候に合わせて段取りも調整。午後になると、雨が降り始めた。今日はモデル棟の仕上げ。ひとつずつ、使う人を思い浮かべながら整えていく。引き出しには、事前にサイズを測ってカットした滑り止めマットを敷く。その上に、カトラリーやキッチンツールを並べる。その下には、お皿やカップ。さらにその下には、鍋や調理器具。使いやすさと見た目の両方を考えながら、ひとつずつ居場所を決めていく。引き出しを開けたときに、どこに何があるかが自然にわかること。気持ちよく手に取れること。そんな小さな心地よさが、滞在の質を支えている。旅先では外食も楽しい。けれど、冷蔵庫に食材を入れて、ここで料理してみたい。朝はグラスのお白湯をゆっくり味わいたい。そんな気持ちになってもらえたらうれしい。空間を整えるというのは、家具を置くことだけではない。引き出しの中にも、心地よさは宿る。今日もまた、そんな見えない部分を整える一日だった。