今日、2月19日は、二十四節気の「雨水(うすい)」。雪が雨へと変わり、凍てついた土がゆるみ、潤い始めるころ。そして先日は、新月という「はじまり」の時でもありました。ふと見渡せば、いまの住まいには、かつて当たり前にあった「床の間」や「縁側」といった場所は、ほとんど見当たりません。毎日が忙しく、外へ外へと意識が向き、学びや遊び、仕事に追われる日々。それは、現代ならではの豊かで充実した時間です。けれど、ふとした瞬間に。「内側」への静かな思いが、胸の奥で小さく波打つことはないでしょうか。もし、家に床の間がなくても。心の片隅に、小さな「余白」を持つことはできる気がします。たとえば、ダイニングテーブルの隅に、庭で摘んだ小さな草花を一輪、コップに挿して置いてみる。あるいは、雨音に耳を傾けながら、熱いお茶をひと口だけ、ゆっくり味わう。その瞬間、その場所が、あなただけの「床の間」になり、「縁側」になります。太陽や月の暦は、カレンダーの中だけにあるのではありません。私たちが「ふう」と一息ついたとき、体の内側で静かに共鳴しているリズムそのものです。忙しい日々の隙間に、ほんの数秒の「雨水(うすい)」を。心の中に設けた小さな床の間に、季節の気配をそっと飾ってみる。それだけで、私たちは、いつでも自分という家に帰れるのです。どうぞ、やわらかな春の雨のように、心まで潤う一日でありますように。