換気扇。エアコン。扇風機。消した瞬間、もやが晴れる。ノイズが消える。そんな感覚がある。水の音。風の音。鳥の声。虫の音。軒を打つ雨の音。そんな音を聴いていると、落ち着く理由があるのかもしれない。自然の音には、倍音という豊かな響きがあると聞いた。身体は、そうした自然な響きを、本能的に心地よいと感じるのだという。その話を聞いて、妙に納得した。数年前、音の領域や周波数について知る機会があった。実際どんな感じか確かめたくて、レコードが聴けるオーディオを迎えた。耳からは聞こえない、高音域や低音域を再生できるスピーカーを上下に置いている。レコードに針を落とすと、たしかに、身体全体で音を受け取っているような感覚になる。耳が音を聴くというより、身体じゅうが、響きを受け取っているようだった。気づけば、涙がにじむこともある。音には、人を調える力がある。そんなふうに思えてならない。生演奏もそう。誰かと向き合って交わす声もそう。その場でしか生まれない音には、録音や加工では届かない、何かがある気がしている。