高知の工房から、榧(かや)のまな板が戻ってきた。丁寧にプチプチで包まれた姿を、ひとつずつほどいていく。そして、久しぶりに対面した木肌に、思わず見惚れた。木目が美しくよみがえり、なめらかな表情が戻っている。まるで、もう一度息を吹き返したようだった。四年前の冬、この榧のまな板を使い始めた。榧の木は、一人前の成木になるまで、300年もの時間がかかるという。そんな長い年月をかけて育った木が、毎日の料理を支えてくれている。そう思うと、いつもの台所の時間も、少し特別に感じられる。毎日使い続けたまな板には、取れないシミや黒ずんだ部分もできていた。それも、一緒に過ごしてきた証。この夏、削り直しをお願いすることにした。購入した工房では、ありがたいことに、削り直しもしてくださる。高知まで送り、そして、また私のもとへ帰ってきた。戻ってきた姿は、想像以上に美しかった。木目が整い、本来の木肌が現れる。まな板って、すごいものだと思った。木の命をいただき、手をかけながら、長く使い続ける。それは、ものを消費するのではなく、時間を重ねていくことなのかもしれない。ふたたび使い始める日は、一粒万倍日の今日にしてみた。あまりにも美しい姿で戻ってきたので、自然と暦を見て、日にちを選びたくなった。また今日から、毎日の料理を支えてくれる。木の時間と、手をかけてくださった方々へ。ありがとうございます。今回、削り直しをお願いしたのは、高知の榧工房 かやの森さん。木を育てる時間、道具として生かす想い。榧の魅力を、ぜひご覧ください。▼山の宝石「榧」を高知からhttps://www.kayanomori.com/?grid=headLogo