キッチンで満たされた心と体は、より自由な場所へと向かう。リビングと、そこから続くテラス。ここは、家という箱が、空に向かって深呼吸をする場所だ。はじめに選んだ写真は、午後の光がソファに描いた、ストライプの影。窓辺のバーチカルブラインドは、単なる目隠しではない。光を漉(こ)し、時間という形のないものを、部屋の中にそっと映し出す装置だ。ソファに深く身を沈めると、高い吹き抜けの天井が、思考をどこまでも高く連れていく。階段のガラス手摺りは存在を消し、ただ、光だけを通している。このリビングには、「囲われている」という感覚が、驚くほどない。ふと誘われて、窓を開ける。リビングの床とフラットにつながるウッドデッキ。そこは、外でありながら内でもある、輪郭のあいまいな、心地よい場所だ。スツールやミニテーブル、植物たちも、陽を浴びて、どこか嬉しそうに見える。ここで風に吹かれていると、リビングにいるときより、少しだけ素直になれる気がする。本を読むのもいい。ただ、揺れる木の葉を眺めるのもいい。「何もしない」という贅沢を、静かに許してくれる場所。リビングとテラスの境界線をといたとき、暮らしは、空や風と、ひとつになる。