今日の T 邸の外観は、午後の光を受けていっそう凛々しい佇まいだった。光の角度がわずかに変わるだけで、建物の表情がきゅっと引き締まっていく。その静かな存在感に、思わず足を止めた。昨日は、壁を傷つけたり汚すことのないよう、まず壁に丁寧に養生をし、各種部材や設備機器が慎重に運び入れられた。写真は、リビングを埋め尽くす“準備の山”。キッチン設置 2 日目の本日は、すべてが順調に進んでいた。キャビネットが入り、機器類が収まり、キッチンが“場所”として立ち上がる瞬間。無事、設置が完了。タイル施工が控えているので、しばらくは養生をして静かにその時を待つ。このキッチンには、もう一つ大切な役割がある。限られた空間のなかで、ダイニングテーブルとしての機能も担う場所になること。5 人家族でも 3 方向から無理なく腰かけられるように設計した。ここは、新しい生活の要となるエリア。暮らし方と空間のバランスを考えるほど、“ここを優先しなければ日々が不便になる” という箇所が浮かび上がってくる。そのポイントには、大胆な解決案を早急に用意し、真摯に意図を伝えながら進めていった。これは難しいだろう、と一瞬よぎることもある。それでも、つべこべ思わず一歩踏み出してみる。すると、その歩みに応えるように、予想もしていなかった化学反応が起こる瞬間がある。不可能が可能へと近づいていく “小さな予兆” を、決して見逃さない感性が働く。新しいキッチンの息づかいと、外観の凛とした静けさ。どちらも、この家の「芯」が見えてくるようだった。