白妙(しろたえ)という名の桜に出会った。幾重にも重なる白い花びらは、ただ白いというより、光そのものをまとっているようだった。静かで、やわらかくて、それでいて、芯のある美しさ。ただ見ているだけで、呼吸がゆっくりと整っていく。見上げれば、澄み渡る青空の下、さまざまな桜たちが、それぞれの姿で咲いている。濃淡も、咲き方も違うのに、どこか調和していて、ひとつの風景として、静かに響き合っていた。同じでなくていい。それぞれのままで、美しく在ることができる。枝先には、みずみずしい新芽。やわらかな緑が、これからはじまる時間を、静かに告げている。咲くことと、芽吹くこと。終わりと、はじまり。そのすべてが、同時にここにある。白妙の光に触れた日、整うとは、何かを加えることではなく、余分なものが、静かに落ちていくことなのかもしれない。