コテージへ納める備品の箱が、アトリエにも積み上がっていく。ほとんどの品は現地へ直送する。けれど、シール剥がしや加工など、事前準備が必要なものはこちらへ届けてもらう。午前はその作業にあてる。カップ。お皿。グラス。カトラリー。箱を開け、ひとつずつ確認していく。そして、シールを剥がす。材質やサイズ感を確かめながら、キッチンクロスで全体を磨く。この地道な作業の中に、たしかな幸せと喜びがある。シールがきれいに剥がれるものもあれば、途中で切れたり、なかなか剥がれないものもある。布製品には大きな品質ラベルが付いているので、ギリギリのところへはさみを入れる。午後は友人オフィスの広いテーブルをかりて、引き出しのサイズに合わせて、マットもカットする。こうした作業は、完成した空間を支える土台のようなもの。使う人の心地よさは、こういう小さな準備の積み重ねから生まれる。引き出しを開けたとき。カップを手に取ったとき。お皿を戻したとき。はっと心がときめく、シンプルな美しさや使いやすさが、滞在の快適さにつながっていく。料理でいえば、下ごしらえのようなものかもしれない。目立つのは完成した一皿。けれど、その手前には、たくさんの準備がある。そして、そのときの気持ちの在り方が、空気感や印象として現れてくる。暮らしも、空間づくりも同じ。人の目に触れないところほど、丁寧に。今日は、そんな準備の一日だった。