深夜、未明、そして日中と、南向かいの家にやってきた犬が、大きな声で吠え続ける。カラスたちの鳴き声、近くで続く工事の音、空からは、低空を流れていく飛行音、遠くに救急車の音、ノイズがカラフルすぎて、落ち着かない。吠えが止む、ほんのわずかな静けさが、やけに貴重に感じられる。こんなにも音というものは、暮らしの内側に影響を及ぼすのだと、あらためて受け止めた。「今日はずいぶん主張が強い日だな」誰に向けるでもない言葉が浮かんで、苦笑いがひとつ。整っている、と思っていた日常は、案外かろやかに揺らぐものらしい。けれど、その揺らぎの中で、静けさというものの輪郭が、かえってくっきりと浮かび上がる。ノイズがないこと、ただそれだけで、自然と呼吸も深くなる。そんなことを思う一日だった。