無駄や手間が、大事だと思うようになった。 効率よく、間違えずに、最短でたどり着くこと。それは、わかりやすくて、正しく見える。けれど、その途中で、静かにこぼれていくものがある。 遠回りや、うまくいかなかった時間。やり直したり、立ち止まったり。そういうものは、できれば減らしたいものとして扱われてきた。 でもいまは、そこにしか残らないものがある気がしている。 きれいに整った答えではなく、少し歪んだままの感触。人と関わると、なおさらそう思う。 思い通りにならないことや、かみ合わない時間。その中でしか、触れられないものがある。 無駄に見えるものや、手間のかかること。 それを、切り落とさずにいられるかどうか。 「すべてに喜ぶ」という言葉が、ふと浮かぶ。 うまくいったことだけではなくて、遠回りも、エラーも、得にならないように見えたことも、結果が出なかったことも、損をしたように感じた時間も、そのまま含めていくこと。 庭の風が、少し強く吹いて、花が揺れた。 まっすぐではいられないことも、どこかで、許されている気がした。