庭の蝋梅が、たくさんの蕾を蓄えている。冬の澄んだ空気を吸い込んで、一歩ずつ春への準備を整える静かな時間。こうした季節の営みに触れると、心の中に心地よい余白が生まれる。以前、小さなショールームを構えていた頃、隣り合っていたのが「クールフーズHANA」のオーナー、Eさんだった。仕事の合間にお茶タイムのお誘いがあり、夢中でアイデアを語り合った。また、Eさんと、私と息子の三人で、ニューヨークやボストンを旅したこともある。私にとって、クリエイションの刺激をくれる友人であり、生き方を見習いたい大切な人生の先輩だ。設備業を営むご主人の仕事と同じ精神を背に、Eさんは一から「食」の事業を育ててきた。その「無添加の美味しさ」は、今や全国、そして海外へも届いているという。先日、日頃の感謝を込めて、手土産の古代米とお餅を携えて彼女を訪ねた。彼女はときどき、私の仕事の大切な縁を繋いでくれる人でもある。帰りがけに求めた「海老蒸しぎょうざ」。本来はレンジで手軽にいただけるものだが、あいにくアトリエにはレンジがない。せっかくなので、ゆっくりと時間をかけて蒸し器で温めることにした。立ち上がる湯気と共に、竹皮の清々しい香りが部屋に広がる。美味しくて、写真を撮る間もなく最後の一つを口に運んでしまった。手元に残ったのは、蒸したての香りを吸い込んだ、味わい深い竹皮の包み。裏ラベルに記された「工務トータル備工」という文字を見つめる。建築や設備の現場で培われた「嘘のないものづくり」の精神が、そのまま一粒の点心に凝縮されている。余計な添加物を引き算し、素材の力だけで心を満たす。それは、私が住まいづくりで大切にしている「深呼吸できる空間」のあり方と同じだ。「美味しい」と「ありがとう」が巡る、健やかな循環。のこった竹皮が教えてくれたのは、そんな豊かさの原点だった。