雨予報の前日。ほどよく涼しい、曇り空の一日となった。朝八時から、庭師さんが庭へ入る。まずは、松の木一本の手入れから。来月から、二ヶ月ほどインドへ渡るらしく、今回は今日一日でできるところまで、庭を整えてくれることになった。今の時期の草木は、驚くほど成長が早い。少し見ないうちに枝葉は伸び、庭の景色も変わっていく。茂りすぎると、風も通らなくなる。だから、余分な枝を落とし、光や風の通り道を整えていく。剪定された後の庭は、どこか呼吸が深くなったように見える。庭があると、手入れがいる。暮らしがあると、手入れがいる。家には、人がいる。人には、どこかを整え、手入れしていく役目が、自然とあるのかもしれない。放っておけば、乱れていく。けれど少し手をかけるだけで、空気は変わる。庭も。住まいも。人の心も。剪定された枝葉の香りが、静かに風へ混ざっていた。