一日を終えた自分を、無条件にほどく。評価も、反省も、判断も、そのままにして脇におく。眠る前は、何かを考えたり、決めたり、描いたりする時間ではない。ただ、委ねるための時間。自分という小さな思考から離れて、もっと大きな流れに、身体を預けるような感覚。一日にめぐった考えや感情は、頭の中のビデオカセットにあって、眠る前はそれをカチャっと外すんですって。再生もしないし、巻き戻しもしないのがポイントだそう。これはずっと以前、ビデオ(VHS)録画もあったころの打ち合わせの合間の雑談で聞いた、いまも印象に残っている話。奥様が、感心したように教えてくれました。「日中、どんなにややこしいことがあっても、主人は毎日、朝までぐっすり眠れるそうなんです。それが、健康の秘訣かもしれませんね」確かに、眠る前の反省会は、心も身体も休まらない。一日を振り返ることよりも、一日を終わらせること。眠りに入る前に必要なのは、答えではなく、手放すことなのだと思う。それよりも、“すでに十分だった”という感覚を選ぶ。それは前向きでも、ポジティブでもなく、ただの事実としての安心。布団の中で、気持ちよさを感じたら、息を吸う。体の中に、静かに空気が満ちていくのを感じる。そして、ゆっくり息を吐く。整えようとしなくていい。良くなろうともしなくていい。考えは、朝起きてからでいい。眠りは、一日をリセットするための、尊い贈り物なのだから。