サウナ棟の計画の中で、ととのいチェアを吟味している。近年のサウナ人気は、単なるブームというよりも、「休む時間そのもの」への関心が高まっているように感じる。サウナ室で温まること以上に、水風呂のあとに訪れる外気浴の時間が、体験の質を大きく左右している。そのため、ととのいチェアは“身体を預けるための設計”として見ていく必要がある。角度や素材、座ったときの抜け感。そこに少しの違いがあるだけで、呼吸の深さや、意識の落ち着き方が変わってくる。サウナという空間は、熱を得る場所であると同時に、静けさへ戻っていくための場所でもあるのだと思う。だからこそ、光や音、風の抜け方と同じように、“休む姿勢そのもの”が設計の一部になる。整えるという言葉の意味が、少しずつ広がっているのかもしれない。